カシム、可哀想だね。
こんな変な場所に連れてこられて王子様にいじわるされて―
それで先輩たちや新入りにまでこぞって血を吸われてるんだよ?
[彼がレトと近い時期に入隊したのは知っている。
床に跳ねた血を啜って少年に変貌し、慈愛に満ちた表情で毒を吐く
まるで生きている事自体が毒であると、主張するかのように。]
お前の事なんて誰も見ちゃいないし心配してもいないよ。
君をよく気にかけてたレトだってさぁ…ホラ。ねぇ?
[そこに居るレトを一瞥し、カシムと見比べて――にっこり微笑んだ]
蓋を開けてみれば、こんなものなんだよ…友情なんて。
[彼の喉を貫いて、空のワイングラスを吹き出した血へ向ける。
グラスの外面も朱に濡れたが、構わず甘い香りを纏うそれを飲み]