人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


狩猟師 ギィ

[喉が、渇く。渇きすぎて首筋を掻き毟る。
長く伸びた爪が、喉元へ幾重もの赤い筋を、つくる。

爪に付着した血を舐め取ったのは半ば無意識のことだった。]

 ……ああ…、…、

[脳の芯がじん、と痺れるような陶酔感がそこにあった。
自分の血では足りない、そう感じた瞬間に、はっと我を取り戻す]

 まさ、か……


[白を好んで着ていたのは、
黒髪の所為で暗い感情に囚われぬ為だった。

今も寝巻きに白いガウンを着ていたけれど――
鏡の中の自分の髪はもう、黒くはなかった。
燃えるような赤い髪へと変化していた。
目も、煌々と赤く、鋭く鏡の中の――吸血種を、見つめていた]

(13) 2013/10/01(Tue) 14:10:11

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