[剣の腕はお世辞にもフィオレンザより上とは言えなかったが、朗らかで日向のような人だと思った。
そうしていつしか心惹かれていた。
そうして19で結婚し、騎士としての任を務める傍ら、妻として彼に寄り添った。
綺麗だから伸ばしてもいいのではと云われ、こっそりと髪を伸ばした。
ドレスなど着ないけれど、彼の前だけでは普通の女性になったような気がした。
そうしてもうすぐ結婚して二年が過ぎようかという頃、シュナウザーが向かった地方への巡視で起きた諍い。
それを止める際に怪我を負い、そこから罹ったと思われる病が原因で余命幾何もないとの見立てを聞かされた。
何とか直せないものかと医者に泣きついたが、治すのは不可能だという。
――半月後、シュナウザーは命を落とした。]