[荷造りをする時羽流の肩の上、笑顔の少女が、時折首を傾げたり両手を広げてみせたりと、関節を曲げながら話しかけてくる。
口元は笑ったまま、瞼をぱちぱちと閉じたり開いたりする様は、まぎれもなく人形のそれだ。]
リュカさん。
どうでもいいですが、僕のことをちゃん付けで呼ぶのは、やめていただけませんか。
[黒いおかっぱ頭にワンピース。
時羽流が生まれるよりずっと前から有名だった、“リュカちゃん人形”。
りさのお気に入りで、事件の際も彼女の遺体の傍に落ちていた。
一緒に火葬されたはずだったのに、“彼女”はなぜか、ここにいる。]