[その男は右足を引きずりながら宿に入ってきた。
そして懐からビールを取り出して飲み、一人語り始めた]
人狼神を信仰する異教徒との戦いの最中、流れ弾に当たり右膝を砕かれた。
命に別状は無かったが、戦うことができず退役を余儀なくされた。
それからまともな職に就くことができず、各地をずいぶん彷徨った。
いつ死んだっていい、そう思って生きてきた……。
そんな俺にも一つ気がかりがあった。
故郷に残してきた可愛い妹だ。
妹の為になんとか仕送りをしてやらないといけない。
なけなしの賃金で仕送りは続けたんだ……。