[近づくほどにその芳香はますます甘く香り立ち、脳髄を犯して衝動に屈服させようとする。歯を食いしばって体の要求を押さえつけながら、アレクシスだったものの服を引き裂き、胸に揺れる血石のペンダントをむしり取った。握ったそれを、今度は彼の心臓に突き入れる。] おまえの命、預かっておく…っ![もっとも濃い血に触れて、血玉は鮮やかにその姿を変えた。澄んだ赤い石の中、小さな花々が咲き乱れるのが見える。それは、城主の血を媒介に封じ込めた、ひとりの吸血鬼の、命の結晶。]