― 前夜/外壁上 ―
[返された余計、の一言に肩を竦めるのも以前と変わらぬもの。
自分の出自については、詳しく語った事はない。
最初は必要以上に目立たぬように、という考えからだったが、その内、話す必要性を感じなくなっていたから……というのは、表に出した事はないのだが]
るせぇな。
手先の器用さなら、負けてねーぞ。
[不器用はお前の方、と言われてそんな風に切り返し。
途中で途切れた言葉には、何も言わずに小さく笑みを漏らした]
そーだな、今やるべき事は他にあるし。
[言いながら、視線は一時湖の方へと流れ。
再び視線を戻した時に見えたのは、晴れ晴れとした笑み]