― 西の塔 ―[シメオンが眼前で造り出す、真紅を帯びた戦斧。その一部始終を、瞬きさえせずに見届ける。彼に与えた血の色が、普段は見えずとも、確かにそこに在る] ………いってらっしゃい、シメオン。[――気をつけて、と。僅かな逡巡を挟み、添えた囁きは、塔を後にする彼に届いたかどうか>>1:235]