―回想・十年前―
[村長には『外は危ないから家を出るな』と何度も釘を刺されたが、慣れてない他人の家、両親を失ったばかりの自分を気遣う村長の奥さんに息苦しさを感じてふらりと外に出た。
あても無く彷徨って到着した場所は、両親とよく遊んだ浜辺で。
ぼーっと海を眺めていれば、遠くの浜辺からこちらに向かって歩いてくる少女の姿が見える。
その少女が幼馴染のリーザだとすぐにわかった。
リーザの足取りはなんだか楽しげだったか。
誰にも会いたくない気分だったから逃げようかとも思ったが、思っただけで動く元気も無かった。
段々自分のほうへと近づいてくる幼馴染の女の子。
表情がわかるくらいの距離になればその表情は…――。]