[やがてジークムントとアレクシスの応酬はひとまずの区切りを迎え、ジークムントの注意は再び侵入者へと舞い戻る>>0:163
最初のそれと重なるかのような問いに、緩く左右に首を振った]
いえ。
目撃してはならない場面を、目撃はしてしまいましたが……。
[アレクシスが噴水に突っ込んだ一件を上げて、ちらとアレクシスへと視線を流す。
ただし直視するのが躊躇われたので、微妙に視線は宙を泳いだ。
その視線が再びジークムントへ戻されたのは、投げかけられた問いゆえに。
彼の視線を真っ向から受け止めて、そっと口元に笑みを湛えた]
私はシメオンと申します。
長いこと、主命を受けて地上に舞い降り、人の営みを見守ってまいりました。
[丁寧に頭を垂れると、紡ぎ上げるのは偽りの素性。
僅かに躊躇う間をおいて、今まさに意を決したといわんばかりの様子で、覚悟を込めてジークムントを見つめた]