懲りないものだ。 過日の傷が癒えたばかりだろうに。[冴えた声は平静を装いながら、唸るように響いた。 魔王城へ至るまでに勇者らと激戦繰り広げたは幾たびか。 血と咆哮を撒いても、命を刈り取るには能わず。 微かに揺れるは漆黒の髪と縦長の瞳孔を持つ黄金の双眸。 髪と同じ色の黒衣に身を包んだ長躯は、世を統べるに相応しき王の傍らに控えていた。>>7]