― 現在の教会 ―[少女からほどよく成長し、紺のベールとローブに全身を包んだフリーデルは、日課である教会の掃除のため窓拭きをしていた。 胸元の十字が光ると、窓から太陽光が差し込んでいることに気付き、顔を上げる。] 今日も良い天気ですね。 後で、実家へ手紙を書きましょうか。[北の空を眺めながら独り言のように呟くと、教会の外から、フリーデルを呼ぶ声があった。] あら、お客様かしら? わたくしに用事なんて……珍しいわ。[拝廊へと、フリーデルは足を向ける。]