― 自宅 ―
『……なるほどねー。
要するに時羽流ちゃんは、りさちゃんの事が忘れられないわけね。』
そう……ですね。
『もしかして、りさちゃんのこと好きだった?』
…………そういう、わけでは……。
『え、なになに?
それじゃ、別に好きな人がいるとか?』
……そういうことでもありません。
誰かを好きになる余裕なんて、ありませんでしたし……
そんな資格は、僕にはないんです。
[他人のコイバナに興味津々といったダレカの声に対し、丁寧な口調で応える青年――時羽流は、首を小さく横に振りながら、自嘲的に笑った。]