[あたしは丑ケ谷の家や家業を誇りに思っているけど、未谷家自体にどろどろした昏い感情は持ってない。
そういった気は悪いモノを呼び寄せるもの。
それはあたし達の生業的にもっとも好ましくないものだと思う。
哀しい事に、同時に切っても切り離せないものだとは思うけど。
あの子は同い年に生まれた同業者であって、負けられないライバル。
それでいい。
玲緒とどう接しようか考えた末に、あたしは明確で分かりやすいそんな線引きをした。
勝負をするのなら嫌がらせなんかせずに堂々と。
その代わりに特別仲良くしたりもしない。
それがあたしの中に出来たルールだった。]