[音は2階から聞こえた。足の悪い自分には、階段は堪える。一段一段、壁に掴まるようにして昇っていく。近づいてくる、新しい血のにおいに、顔を歪める。血のにおいを頼りに、空いている部屋を確認して回り――一番奥、惨劇が行われた部屋に着いた時には、そこに狼の姿はなかった。そこは既に綺麗に片付けられていたか、それともオットーがいたか、これから来る所か]