― 夜・302号室前 ―
[そうだったという確証も、そうでなかったという確証も彼にとって、さほど重要ではない。アルビンの判定の遅さを思えば、嘘の可能性はある。
だが、弟が望むまいと望もうと霊能者という舞台から降りれなくなったという点を踏まえて、一つの結論に至った。
黙って見過ごせるわけがない。
そして、これから告げる秘密は一つの価値のために捨てられるものだっただけの話]
ペーター…夜這いに来た。入れてくれないか?
[その単語を使ったのは細やかな意趣返し。
微塵も入れてもらえない可能性を考えてない。必死に入れてもらおうする兄がいるかどうかは夜の闇が知る]