でも、人と戦ったら人が死ぬんです。
国や軍隊や、主義主張じゃなくて、人が死ぬんです。
だから…
[だから。…だから?]
…だから。せめて、殺すために戦わないでください。
戦うなら、せめて、守るために戦ってください。人や、みんなを。
お願いします。
[それを、今この場で、一人の軍人さんに言って、どうなるだろう。
でも、伝えたかった。言いたかった。
『軍人さん』に。
…あるいはこれも、“この人”を“軍人さん”っていうカテゴリで扱う、エゴ、なんだろうか。
―――おじぃが言うには、軍人さんの仕事は元々、守ることだったんだって、聞いていた。
今の時代は、軍人さんが人を殺すんじゃなくて、人を守ることに専念できるから。だから、兵器を直したり、作ったり、そういう仕事を請けてもいいって、思ったんだって。
でも、その結果は。今日見たとおり。
戦闘用の機械を作ったり直したりするのに、何の疑問も持ってなかった自分がバカみたいだった。
もういっそ、誰か思いっきりバカにしてくれたらいいのに]