― 第二王子自室 ―
[兄との会見>>2:107>>2:263を終えたウェルシュの姿は、再び自室にあった。自室とはいえ私的な間の続きの、いわば執務室ともいうべき場所。
そこでウェルシュは、一つの資料を捲っていた。
それは以前、この騒動の起こるよりずっと前にシュナウザー監査局長と語らっていた政策>>0:38>>0:105の資料。その後二人で話し合いを重ねて、父王へと奏上し施行された政策の資料である。
それはまた、今回のスラム地区での暴動>>2:88の契機となったとされる政策の資料でもあった。
この施策が貧しい者らの為の施策であったこと、父王の吟味を通り正式に実行されたものであること。一月前、ウェルシュが実際に(城を抜け出してだが…)確かめた折には、問題がなかったこと。
これらは全て、兄に伝えられてある。
その上での資料であった。全て整えば、侍従が呼ばれる。
その手を通じ、資料は兄の部下へと手渡されるはずだった。]