[室内に引きずり込まれ、説明を要求された。>>6]
フィオンの血よ。
彼、私が発病していると知っていたのね。
[一瞬固くなった表情に何か言われるかと待っても、
そのまま黙って手紙とアンプルを受け取る様子を見て苦く笑う。
フィオンがカスパルを語るのを聞いた時から
親しい間柄だと思っていたのだが。
カスパルは講義室での言葉通りの立ち位置を貫くらしい。
フィオンの手紙が読まれている間に
殺す相手に生きる道を示された不意の出来事で
混乱していた頭が少しずつ鎮まっていく。
床に腰を下ろしたら汚いと怒られるだろうか。
だけど今は少し気が抜けているので許してほしい。]