― 月夜の森 ―[薄暗闇の中で、鼠色のマントから覗くゲルトの四肢が白っぽく浮かんで、どきどきしながらそれを見てた。けれどそれは次第に、人ならざるものの姿へと変わる。じっと見ていたヨアヒムの喉が、こくりと小さく鳴った。このまま喰われたらどうしようそれでも、かまわない二つの相反する想いが一瞬膨れ上がったけど、大きな黒い狼に顔を舐められれば、笑いながらその首元に抱きついた。]