[極上の美酒に耽溺しようとして、けれど渇きを癒せたためか理性が戻る。 自 分 は、何 を し た ?] ぐっ……[口を押さえて立ち上がる。まだ周りでは血を啜るものが居ただろうか。彼らには頓着せず、足早にカシムの部屋を出る。向かった先は厨房。口に残る誘惑を消し去ろうとして、けれどそれを知った身体がその記憶を手放すはずもなく。それを認めたくなくて、ただがむしゃらに口を漱いだ。誰かがその間に厨房に来たなら、憔悴した様子で振り返るだろう。]ーカシムの部屋→厨房ー