旅人 ニコラス

[例えすぐ近くに誰かが同行していたとしても、聞こえない程度の声量で呟き、友人に向けるには冷静で冷酷な視線で遠慮なく観察する。]

[真っ先に目にとめたのは、被害者の喉と右肩から左脇腹にかけての傷跡>>1:657。どちらかが致命傷になったのだろう。そして現場に残された金色の毛。

ゆっくりと手を伸ばし、それを指でつまんだ。]

人狼は左利きの可能性あり、か。それにこいつは人狼の毛か？　体毛を変えられる人狼もいるらしいから、決定的な証拠にはならないが、一応保全しとくか。あとはペンダント……俺には必要ねーけど、あとでこいつがうるせーからな。つか、俺が表に出てたから、誰が右利きで誰が左利きか、とっくに把握しているっつーの。

[相変わらず唇をほぼ動かさないように、口内だけで独語を紡ぎ、拾ったペンダントを金色の毛と共にハンカチで包んだ。

同行者がいた場合、ゲルトという友人を亡くして、血の気の失せた顔で黙り込んだまま奇行に走っている僕をどう思われるだろうか？]