[押し合いになれば、上をとる相手のほうが有利だ。
おまけに、足も着いていないからから踏ん張りも効かない。
噛みつかれている相手を振り払うのは難しいと判断すれば、掴んでこようとする手を避けて、自分から得物を手放した。
腹を狙う蹴りを腕でガードし、反動をつけて距離を離す。
思った以上に飛ばされたのは、やはりまだ飛んでいる感覚に慣れないからだ。
地面に激突する寸前に体勢を立て直し、一旦地上に降りよう───という動作の最初で躓いた。]
おわっ!?
[地面を向いた足が、ついた、という感覚も無く滑る。
体勢を崩しかけて後ろに伸ばした手も、同様だった。]