[ボストンバッグとは別の、移動用のボディバッグに必要なものを詰め替え、クローゼットに服を吊るし。
仮の住まいを自分仕様に整え終えると缶ビール片手に一階台所へ向かう。]
どーも
これ冷やさせてもらっていっすか
[スパイシーな香りを漂わせる鍋をかき混ぜている管理人に一声かけて、冷蔵庫脇にぶらさがっていたマジックを企業ロゴのしたにきゅ、と滑らせる。
『K.Knight.』
署名したそれを冷蔵庫上段奥に置き、ついでに出来たてのカレーを相伴に預かる。
色鮮やかなトマトのサラダは意図的に視界から外した。
紅茶のゼリーと共に食べ終え、珈琲を飲みながらこの後の予定についてぼんやり思案する。
食事の途中、誰かが現れれば軍人一般人関係なく適当に声をかけたり、談笑に興じるだろう。
内心とは別に、口調も表情も飄々と呑気な観光客を装ったまま。]*