― →お菓子の家>>0:173>>0:174 ―
[姉に抱きしめられて、落ち着けるようになるまでの一時。
少年は、いつか姉に作ってもらった手料理のことを思い出していた。
甘くておいしいお菓子よりも、ともすれば尊いと感じられる、
宝物のような、思い出の欠片――]
……だいじょうぶだ、もう。
[姉の服の裾を握っていた手で、まだ残る涙の欠片を拭いて、
やがて肝心なことを忘れてはならないとばかりに、
あれからさらに半分に折ったチョコの木の枝を差し出した]
ねえちゃんの分。
おればっかりお菓子食ってたって、意味ねーし。