[時を同じくして、ロストルム帝国にて起きた貴族の勢力抗争の話題が、シュヴァルベまで届いてきた。裏情勢に詳しい者ならば、古い家柄の公爵家当主が政権争いの末暗殺されたと知るだろう。当主には跡継ぎもなく、嫡流の中から新たな当主が選ばれた。名門の家柄とはいえ、政権抗争に敗れた末の当主交代でもあり、新たな当主がいまだ21歳の青年と聞けば、誰もが名門の没落を疑わなかったものである。]