[トールはどんな様子だったろうか。彼が少しでも落ち着いてきたなら、薄暗がりの通路、エレオの傷を確認しようと、白衣から診療用のポケットライトを取り出す。薄暗い中、小さな光の輪に浮かび上がる、命なく項垂れるエレオの、血塗れの華奢な首筋] ……ごめんな、エレオ。 少しだけ、見させてなぁ。[いつも元気よく頷いたり、横に振られたり。可愛らしく傾げる表情が、まだ目裏に新しすぎて。胸奥に湧き上がる哀しみや憤りを堪えるように、ギリ、と奥歯をきつく噛みしめてから、そっと触れた]