─ 回想 ─
[私がカガチ家の養子になった経緯は、聞かされたことはない。
けれど、義母の姉が本当の母親だとは、物心ついた時から聞かされていた。
でも、それと家族の在り方には何も関わりなく、義兄とも分け隔てなく育てられてきたと思う。
だから私は、いわゆる大人の思惑というものに触れるまでは本当にただの女の子だった。
その日、私の家に色んな人が集まってご飯を食べたりお話したりしてる中初めて同年代の女の子達と接した時>>266も。]
うん、いいよ?
コブンってなんなのかよくわかんないけど。
ね、ね、二人とも、お名前なんていうの?
私はね、ガートルードっていうんだよ。
[この時の結果はどうだったかは正直覚えていないのだが、たしか負けた方が今度は三回勝負!とか言い出して長いこと勝負が続いたようなことは覚えている。
あとは、ただ同年代の子と話せるのが楽しくてニコニコしていたことだけ。
自分の素性が咎められるものだと知り、義父達の望まぬことに利用されぬ為と男のように振舞うようになって。
それでも最初と変わらぬ関係を築いてくれる人達へは、感謝してもしきれない**]