[見合いを勧める男に少し前の意地悪さ>>0:344が
ない所を見ると悪気はなかったのであろう。
これが悪意なき悪、というものか。]
えー、どないかなあ。
[年齢も年齢、男にも縁談の一つや二つ持ちかけられたこともある。その度にばっさりと丁重にお断りをしていたので、軍部の一部からは男が同性愛者なのかと噂されるほどであった。
ただ、男にとって満足のいく条件でなかっただけで
高望みと言われればそれまでなのだけれど。]
俺はリーくんが羨ましゅうてしゃあないよ。
俺にあれへんもん、みんな持ってるもん。
血筋やろ、家やろ、金に、信頼に、あと家族?
[羨ましいという言葉の半分は真であり半分は偽であった。
男は家族など野心のためには足枷にしかならない、と
そう考えていたから。]