−呉基地・港湾特設工業区画−
『いいですかぁー? それじゃ下ろしまーす』
[外部拡声器を使って声をかけ、半壊した特装の機体を下ろす。
紗々がいま操縦しているのは、4腕8脚の多脚多腕作業機。その名もクレイカ。
作業効率の向上と、マニピュレーターの精密動作性や多脚歩行プログラムや衝撃吸収サスペンションなんかの技術実証のために作った、クレモト精機汲フ自信作だ。
なお、操作が複雑すぎて売り上げが自信に比例しなかったのは苦い思い出でもある。
常日頃から糸川くんの操作に慣れている紗々にしてみれば、同じ規格のパネル操作で動くのだから簡単なものなのだけど…]
あと10(10x1)体も運んだら終わりかなぁー…
[先の作戦で損傷した機体たちのうち。修復が可能であると目星がつけられた機体は。
その中には、自分が糸川くんのグルーガンで作った壁に囲まれて、回収が難しい状態のものもあって。
だから、その責任を取る意味もあって、こうしていま、働いている。
…糸川くんは、結局使わせてもらえなかった]