[故郷はいいところだ。
だが、こども心にこの場所は、兄にとってはあんまりいいところではないのだとうすうす気付いてはいた。
何せ兄の属性である『機鋼』を象徴するシロモノが発達しているわけではない。
両親も友達も近所の人たちもごくごくありふれて己のチカラを使える中彼は――という次第だった。
同じ日に生まれ、同じ黒の髪を持つというのに、
自分と兄はあまりにも違う。
それでも己にとっては大事な、大事な片割れだ。
なればこそ、一度だけ「羨ましい」とこぼされた時だって、>>0:109
当たり前のように励まそうとした]