― 保健室 ―
[ フィオンはカシムの身を慮るばかりか進路の相談などにも乗ってくれる。
あれこれと悩みを相談したかもしれない。
しかし、やはりどれも走ることは大事なようだった。
次はカッコ悪い所を見せないよう明日もその次も走ろうと心の中で誓ったりもした。
記録官の金髪の女性と聴き、「もしかしてメアリー中尉殿でありますか?」と返した事で実はドロシー中尉だった事が判明した一幕もあったりなかったり。
慌てて謝りに行こうと結局探しに走り回った一幕は別のお話し。
その後の3日は比較的穏やかな日だったと思う。
もちろん訓練は辛かったし、時折感じる既視感や、いつもの夢見の悪さはあったが戦争中であることを忘れるほどであった。
ドロシーとは今では比較的普通に喋れている気がする。
フィオンには普段言えない相談などしていたかもしれない。
カスパルには諸々の訓練を叩き込まれている所だ。どうも窓辺からこちらの事を見ていたらしく倒れていた事も見られていたようだった。
サシャとは同部屋としての生活に慣れだした処だろうか、まだ3日だというのに稀によく殴られたかもしれない。
ただ、カシムは知っている。
サシャは自分同様に夜何かに魘されている事に。
声を掛けるべきか掛けないべきか悩みに悩んでこの日まで結局声を掛けられずにいた。* ]