― 龍峡の村・宿屋 ―
はあ……賑やかでしたね。
[宿屋の一階、食堂と酒場も兼ねる空間の一画に、疲れ果てている精霊師と薄藍の仔竜の姿があった]
まあ、なんというか。
あんなに喜んでもらえただけでも、来た甲斐はありましたけど。
[疲れ果てている原因は、今は市場を一人で歩いている姫騎竜師。
調査隊長として先に現地入りしていた彼女と顔を合わせたのが大体二時間ほど前の事。
それからつい先ほどまで、ふわふわの仔竜をもふもふと愛でたり、ナハティガル王国やこちらの勤め先である養成学校の事を聞きたがる彼女に付き合う事に時間を費やしていた]
……とりあえず、ここが調査隊の集合場所になっているようですし。
誰か来るまで、一休みしますか。
[本当は、初めて訪れた異郷の地を見て回りたくもあるのだが。
今は、精神的な疲労をどうにかしたい、という方がわずかに上回っていた。*]