[軍部に入った伝達役、通り名は “諜報者ソマリ” だった。猫の名前の付いたそれに疑問を覚えたのは、それこそ初めのうちだけの話しだ。(それは猫のように気紛れ気儘に思われる割には懐き易く見えるからか、単純に、付かず離れずのような距離感を保とうとするように見えるからか、或いは、全くと違う理由かは分からないが。)少数しか、その実名を知らないでいる。…というのは単に、通り名がある = 呼ぶのに困らない → 態々尋ねる必要がないと軍部の人の思考が結論付けた結果の産物なだけだったりする。]