[「ついてゆきなさい」そう言われたのは家に度々出入りしていたよく知る男だった。見知らぬ仲ではなかったし、何より親の言い付けだったため特別警戒することもなく言うことをきいた。それは身売りだったが、エレオノーレにはお屋敷奉公と聞かされていた。人並みに教育を受けて来たが、誰かに仕えたりしたことはなかった。 お屋敷奉公なんて自分に務まるのだろうか一抹の不安を抱えつつ、制服のネクタイをぎゅ、と*掴んだ。*]