[身体ごとぶつかっていった先、重い衝撃が跳ね返る。
いい一撃を入れてやった、とにやり笑ったが、お互い様だろう。
縺れ合う近さで改めて相手を見る。
その視線に、嫌悪感は欠片も残っていない。
己の全力を掛けてやり合えた楽しさが当初の印象を覆していた。
一緒に来いよ、とは喉元まで出かかっていたが、止めておく。
これは人の下でおとなしくするような男ではないだろう。
孤独に魅入られているなら、それでも引っ張っていくだろうが、それもなさそうだった。
戦いの合間に見せた晴れやかな顔に、陰はなかった。]
おまえもな。相当なもんだ。
[強いな、と告げられる言葉に、同じ笑みで返す。>>7
それから、明らかに満身創痍の相手を支えようかと手を伸ばしたが、それより先に小さな衝撃がふたりを引き離した。]