[顎を持ち上げ、剣先を下に。間近に魔の気配が薄いとなれば、左の指先を唇に宛がい、細い口笛を長く伸ばした。それは、奴隷を呼ぶ貴族の音階。>>2:247彼の耳にその音色が届けば、気配を探れるだろうか。何時までも壁に支えられて居られぬと、男は確りとした足取りで歩みだした。]