[>>1:561>>1:562絞り出すような声も、吼えるような声も、サシャには聞こえない。だから危ないと肩を引かれるまで、若獅子が喉に食らいつかんと放った一撃には気づけなかった。弩の列から離れていたのも、少しだけ他の弩とのタイミングがずれていたのも要因の一つか。慣れない手が、だが決意と覚悟を持ち放ったそれは、いつだったか熊が当てられた>>1:197王の気とまるで同質のものを纏ったように―――。]