− 「客」の訪れる日 −
[眼鏡と服を新調してもらって以来、ベリアンは元の身分にふさわしい佇まいを取り戻して部屋の外に姿を現すようになった。
今日は精緻な刺繍を施したシャルワニ風の踝近くまである丈長の服を着ている。
その首元を飾るのは十二粒の黒真珠。
他にもいくつもの装身具を緋扇君から贈られ、身につけていた。
両の手首には連ねた細い金属のブレスレット。
左の足首へと巡らされた環にも鈴が取り付けられ、ベリアンの居場所を周囲にそれと知らせるのだった。
華奢に、巧妙に造られているとはいえ、それは実のところ枷であり、ベリアンが自由を制限された身であることを仄めかしている。]