[ふるりと瞼を揺らし、ゆっくりと目を開く。
潜り込んだまま顔は出さずに、耳だけをシーツから出して、辺りの気配を伺う。
誰かの気配があるのなら、耳を揺らして、下手な寝たふりをするだろう。
既に誰の気配も無いと判断したなら、ベッドから抜け出して、洗面台へ向かうだろう。
鏡を見て、酷い顔だなと自嘲して、冷たい水で顔を洗う。
──ジークに謝りに行こう。
取り返しのつかないことをしてしまった自覚はあるけれど、せめて一言謝りたい。
そう決意して、ジークを探しに部屋の外へ。まずはジークの部屋へ向かって、扉を控え目にノックして。少し待って、何も反応が無ければ船の中、ジークを見つけるまで虱潰しに歩き回るだろう]