[しかし、彼の負傷はいわば己が負わせたもの。 数秒の逡巡と無音の間。一度、王をチラと伺い。] いや、何でもない。 風より疾いぞ、落ちぬよう気を配れ。[獣の鼻先を彼の脇から差し込み、荷のように広い背へ迎えた。 馬よりも大きく、毛並みは鋼よりも暗く。>>1:243 イースを背に乗せれば、地を蹴り、次は大気を蹴った。 風の加護を得るのではなく、宙を踏破する術。 轟、と風が毛並みを靡かせ。]