そうかな、テラ
とても貴方は焦っているようには見えないけれど。
[詐欺師の彼にしては珍しく、
世辞ではない本心が口を突いて出た。>>1
物腰落ち着いた彼は、
とても相手探しに焦燥を抱いているようには見えず]
……トオル?
分かった、そう呼ぶとしよう。
[初対面の年上の男に対して、
ファーストネームで呼ぶことは気が引けたが。
諭されるように言われれば、素直に頷いてしまう。
すっかりペースを乱されていることを自覚していたけれども。
むしろ小金を貯めていそうなこの初老に近い男と。
距離を縮めるのには良い機会ではないか。などと自らを納得させた]