私はもう何も知らないまま
貴方達のために戦った私じゃあない。
……、決着を付けましょう。
[ 私にとって魔族は初めて会う相手では無かった。
…否、忘れることなど出来ない相手であった。
女は生まれたその日に魔族に拐われ
長い間自分を魔族と信じて生きてきたのだから。
女は協力な『 癒し ・ 強化 』を操る一族の末裔であり
その一族の中でも特に強い力を持って生まれた
魔族として過ごす間は主に方々の戦場を巡り
無邪気にその力を発揮してきたから
顔を知っている者も多かったかもしれない。
だからもしも…
友だと思っていた魔族を目にしてしまったなら。
――…声が微か震えるのは仕方の無いことであった]