[ 鷹の鳴き声を聞いていた。それはかなりの上空を旋回してから、そのまま何処かへ飛んでいく。開かれている窓の、その枠に腰を下ろして上空を見仰ぐ男の姿が一つ。真っ白の地に金の刺繍が入った服の裾が、肩よりも長い金糸が、柔い風に靡いている。] あぁ、今日も良い風だな。 …… 行ってこい、べルフィ。[群青に融けていく様子を、目を眇めて追った、その後で。風に玩ばせていた金の糸を括り、左の肩へ流す。][ラメール、 ───通称 『暁の国』。今日も退屈過ぎるくらいの穏やかな日だ。]