[リゼット・フラマリオンが白銀の村の住人となったのは、二年ほど昔のこと。ちょうど今と同じ、冬を迎える少し前。村へと続く崖の中程の道で、衰弱死しかけていたところを拾われたのだ。どうして、こんな山奥に独りで? と看病されるかたわら、至極当然な問いを向けられ、商人である伯父たちや姉と旅をしていたが、事故に遭遇し皆とはぐれてしまったと――途切れ途切れに口にすると。村人はリゼットにパンとスープを与え、戸惑い固辞する彼女を余所に姉や伯父たちの捜索を行ってくれた]