― 水軍旗艦・『ヴィルベルヴィント』甲板 ―
[正直な所、あんまり考えたくない可能性だった。
そも、なんでこんな所にそんなもんが出てるんだ、っていうのが先に立つ]
その、『澱み』っていうのは。
……『虚無』に属する類のものだったりするのか?
[周囲からすれば相当に唐突な問いかけ。
現在風龍峡に出向している相方から届いている情報を基にした問いかけに水霊はあらまあ、と呑気な声を上げ]
『よくお分かりになりましたねぇ。
ええ、恐らくはその類ですわ。なぜ流れ込んできたのか、というのはわかりませんけれど。
とにかく、『虚無』の『澱み』がこの海域に流れ込み、一か所に集まりつつありますの。
……このまま放っておいたら、蓬莱海全域……ひいては、水の繋がりを介して他の地域をも汚染していくのは間違いありません。
……ですから……。
[ここで水霊は一度言葉を切り。
もの言いたげな視線を周囲に巡らせた]