[この近くに本物の狼だっているはずだ。オクタヴィアはそう思っている。 5歳くらいの頃、うっかりと森に迷い込み、そこで一晩を過ごしたことがあるのだ。 遠くの方から狼のような遠吠えが聞こえて、震えながら体を縮こまらせていたのを覚えている][結局、その時は何事もないまま夜が明けて、探しに来た村の住人に連れられ帰ることが出来たのだけれど。 あの時ばかりはもう戻って来られないんじゃないかと思ったと、後に家族から聞かされた]