―― 回想・とある兄妹の話 ――
[ゾフィヤ・クラインベックは子供のころから快活な部類に入っていた。
家の中で遊ぶよりは外で遊ぶ方が多い程度には。
とはいえ本もそれなりには読んでいた。
主に旅だの冒険だのを要素に持つシロモノを、だ。
彼女は素朴にそれらに憧れた。
故郷は確かにいいところだ。だが森などを駆け回るだけでは飽き飽きしていたのも事実]
[その話を双子の兄――『ヴェル』にしたならば、>>0:108
肯定するような言葉が返ってきて素直にうれしく思った。
続いた言葉には大きな目をひときわ瞬かせて]
じゃあ、いっしょに行こうよ、ね!
ヴェルといっしょならどこ行ってもたのしいことになるってわたし思うし!
[夜だというのに大きめな声をあげてしまった。
ともあれいいことを思いついたと彼女は自画自賛した]