『……それは、否定すべくもありません』
[間を置いて、紡がれたのは小さな声]
『…………私のみでは、彼の焔を抑えきれぬのも…………』
[わかっています、と。
消えそうな声で紡いだ後、真白の獣はふるり、と身を震わせた。
剣を受けて罅の入った角が揺れ、直後、それはぱきり、と折れる]
『……必要ならば、治癒に用いなさい。
支度が済んだなら、狂焔の門を開きます』
[静かな声でそれだけを告げると、真白の獣は目を閉じてその場に伏せた]
……ったく。
この、意地張りが。
[その様子に零れ落ちたのは、呆れたような嘆息、ひとつ。*]