… お前なのか。[低い問いかけは、去りゆく彼の背に響いただろうか。両の腕が、流れ出る血に染まっていく。地面にまで広がるそれを、少しでもとどめようと強くリヒャルトの身体を腕に抱いて。] ───── 父上を害したのも、お前なのか!![糾弾の叫びは、悲鳴のようにも響くだろう。それは駆け付けた人々の耳にも届くのやも知れなかったが、今はそれを意識する間もなく。]